コイツ、俺の嫁候補。
「もしよかったら……何か作っとこうか? せっかく来たんだし」



大家族に手料理を振る舞うなんて嫌だったはずなのに、今は自然と“何かしてあげたい”と思った。

そんなあたしの言葉に、那央は目を輝かせて「ぜひ!」と言う。



「僕も食べたいです、縁さんの料理」

「だよなー遼」

「勝手に人んちで料理作るなんて……」

「だからお前は文句があるなら焼きそば以外の料理を」

「わーかったわよ!」



那央と華ちゃんは言い合ってるけど、とりあえず作る方向でいいらしい。

兄弟のやり取りに笑いつつ冷蔵庫を覗き、どの食材で何を作ろうか考える。

お肉がたくさん冷凍してあるところを見ると、片霧家の皆は肉が好きなのかな。



「お肉好き? 和洋中何でも食べられる?」

「皆、肉ならどんな料理でも食うぜ。中華なんて最近全然食ってないけど」

「そっか……」



じゃあ那央がそう言ってることだし、野菜もいっぱい食べられる回鍋肉(ホイコーロー)にでもしようか。

中華の調味料も最低限のものはあるし、たぶん作れるはず。

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