コイツ、俺の嫁候補。

「よーし、やるか！」



ブレザーを脱ぎ、シャツの袖を捲って気合いを入れたあたしは、さっそく調理を始めた。

大人数だし、どれくらいの量を作ればいいのかわからないけど、それも適当よ！


『どうぞ下僕として扱ってください、女王様』

とふざけたことを言う那央には、とりあえず生ごみの処理と洗い物を任せ、一心不乱に野菜を切る。

そして勝手に器具をお借りして、その野菜と肉を炒めた。



「はい、出来上がりー」

「おーうまそー！」



キッチンのテーブルに置いた大皿に豪快に盛ると、那央が声を上げ、入口で様子を見ていた遼くんと華ちゃんも鼻をくんくんさせている。

すると、玄関のドアが開く音がして「ただいまー」と女の子の声がした。



「おかえり！」

「おかえりなさい、美央ちゃん」

「ただいま」



華ちゃんや遼くんと挨拶を交わして居間に入ってきたのは、華ちゃんと同じ制服を着た、こちらはロングヘアーの女の子。

この子がおそらく長女の……美央(ﾐｵ)ちゃんか。



「わぁ何？　いい匂い！」

「よぉ美央。今日はこの縁サマがご馳走作ってくれたぜ」

「えっ！？　すごーい！」

「いや、ご馳走ってほどのものじゃないけど……」