コイツ、俺の嫁候補。
そんな美央ちゃんは、食器を用意しながらあたしの耳元に顔を寄せる。



「あの、やっぱり縁さんって那央と付き合ってるんですか?」

「えぇ? 違うよ、ただの友達」



違う違うと手を振りながら答えると、美央ちゃんは肩透かしをくらったように身を引く。



「本当ですか? 絶対付き合ってると思ったのに。那央が家に女の子連れて来るのなんて初めてだから」

「え、そうなの?」

「そうですよ~。もちろん女友達はいるけど、特定の女子とそこまで仲良くしてるのは見たことないし」



へぇ……なんか意外。

那央って男女問わず人気があって友達が多いから、今まで彼女とか普通に連れて来てるのかと思ってた。


そういえば、彼女がいるのかどうかすら、あたしは知らない。

いたらあたしなんかを家に上げたりはしないだろうし、きっとフリーなんだろうけど……

って、別にそんなの気にすることじゃないのに。



「だからきっと、縁さんは特別なんだと思うんです」

「そんなことないでしょう」

「私は二人にうまくいってもらいたいなぁ。そしたら縁さんの手料理がもっと食べれるし~」

「あ、それが目的ですか」



あいにくそれは叶わないと思うよ、美央ちゃん……。

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