コイツ、俺の嫁候補。
顔を上げたあたしは、心臓と一緒に飛び上がりそうになった。



「ぅひゃあ!?」

「あ、ごめん。驚かせちゃった?」



小首をかしげてあたしの顔を覗き込んでいたのは、紛れもなく樋田先輩!!

ほ、ほんとに来たー!!



「せせせ先輩っ、何でここに!?」

「用事があって近くにいたから寄ってみたんだよ」



「牧野さんがいてよかった」と言って微笑む先輩に、あたしはノックアウト寸前。

そういえば今日は制服でもジャージ姿でもなく、レアな私服姿だ。

重ね着したカットソーに細身のカーゴパンツ。オシャレで大人っぽい私服姿は普段の倍カッコいい……!


あたしがうっとりと見惚れている間にも、先輩はジュースのパックを一つ手に取る。



「これください」

「あっ、は、はい!」



レモンティーのパックを受け取ると、あたしはすぐにレジに向かった。

ポケットから財布を取り出す仕草にすら萌えてしまう……のだけれど。

これは恋のトキメキじゃなく、芸能人に憧れているのと同じようなものなんじゃないかと、冷静に考える自分がいる。

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