コイツ、俺の嫁候補。
先日、舞花と話してから、どうも自分の気持ちがあやふやになってしまっている。

先輩のこと、いつの間にか好きだと思っていたけど、実はただ“恋に恋してる”状態なのかな……。



「牧野さん」

「はいっ!?」

「おつり、そんなにもらっていいの?」

「……はっ!」



しまった、考え事してたら無駄に百円玉を手の平に乗せていた!



「ははっ、牧野さんて面白いね」



顔をくしゃっとさせて笑う先輩に、胸がキュンとする。

あーもう、自分の気持ちは今はどうでもいい。

とにかくカッコいい先輩とこうやって接していられるだけで幸せ!



「樋田くん!」



──そんなあたしのつかの間の幸せは、先輩を呼ぶ女子の声が聞こえた瞬間に脆くも崩れ去る。



「ごめんね、遅れて!」

「いや、全然大丈夫だよ」



急いだ様子で店内に入ってきた女子は、あたしの目の前で先輩の腕に自分のそれを絡ませた。

くせ毛風の長い髪、淡いピンクのジャケットにミニスカート……しかも美人。

モデルのような女子の登場に、あたしは目が点になった。

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