コイツ、俺の嫁候補。
「……那央、変な嘘を刷り込まないでよね」

「俺は何も言ってねーよ。あの人が勝手に勘違いしてるだけ」

「否定しないと信じたままでしょーが!」

「それより縁、これ畳むの手伝って」



那央はあたしの目の前に洗濯カゴを掲げてにこりと微笑む。

このマイペース人間め……。

もう何を言っても無駄だと察したあたしは、呆れたため息を吐き出した。

すると、パタンと本を閉じた遼くんが、美雨ちゃんの手を引いて立ち上がる。



「僕は美雨と二階で遊んでるので、二人はどうぞ仲良くやってくださいね」

「え。ちょっと遼くん……」



“二人で仲良く”って、なんか語弊があるような。

さっさと二階へ上がっていってしまう遼くん達を見ていると、那央がポンッとあたしの肩を叩く。



「あいつホント気が利くよな。でも、縁とイイコトしたいのはヤマヤマだけど、まず洗濯物を片付けるか」



イイコトって何よ!?

……と言いたいところだけど、どうせロクでもない答えが返ってくるだけだろうからやめとこ。

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