コイツ、俺の嫁候補。
「ちょっとこっち来い」



突然立ち上がった那央は、愕然としているあたしの手を取り、居間の隣の部屋の襖を開ける。

そこには同じくらいの広さの畳部屋があった。


皆の荷物やらおもちゃやらの物置と化しているその部屋の、ある場所まで連れられてくると。

ひび割れた壁に、カレンダーくらいの大きさの紙が一枚貼ってある。

そこに書いてあるものは。



「“片霧家の嫁になるための三箇条”……?」



その一・極力美味しい料理を作ること

そのニ・洗濯、掃除は面倒臭がらずにすること

その三・(うるさい)子供達に気に入られ、仲良く遊ぶこと


……だそうだ。



「こ、これは?」

「物心ついた頃から母さんに言い聞かされてることなんだよ。『片霧家の男共はこの条件を満たしてる子を嫁にもらえ!』って」

「そ、そうなんだ、あのお母様が……」

「縁は3までは軽くクリア出来るだろうから、問題は4と5だな」

「4と5?」



そんなの書いてある?と近付いてみると、たしかにうっすらと鉛筆で付け加えてある。けど!

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