コイツ、俺の嫁候補。
教室のカレンダーはあっという間に7月に変わり、文化祭まであと二週間に迫っていた。
普段は週一しか活動していないカセイクラブも、さすがに今の時期は活気づいている。
今日は家庭科室をお借りして、看板やポップを製作中。
……なんだけど、皆の視線はネクラの手元から離れない。
「お前すげぇな!」
「ただのネクラだと思ってたけど見直したぜ!」
今だけはヤンキー二人の意見に賛同する。
だってネクラが作っているのは、フェルトを使ったポップコーンのマスコットなんだもん!!
「すっごい可愛いー!」
「これ当日飾ったら絶対目を引くよね!」
「……そのためにカレンさんに頼まれたんですよ」
黒縁メガネを押し上げながら言うネクラの話によると、彼がここに入ったのは週一だからという以外に、手芸が得意だからという理由もあったらしい。
(“家政クラブ”だから調理以外のこともやるんだと、あたしは今気付いたんだけど)
それを知ったカレンさんが、『何かインパクトのあるものを作って!』と頼み込んだんだとか。