コイツ、俺の嫁候補。
ポップコーンの容器の部分を様々な色に変えて、すでに3個は完成している。

たしかにこのクオリティーはすごい……。

ネクラがこんな特技を持っていたなんて!



「那央、お嫁さんにするのネクラでいいんじゃない?」

「バカたれ」



ちまちまと針を動かすネクラを横目にコソッと那央に囁くと、頭にチョップをくらわされた。

笑っている那央を見ると、なんだかホッとする。


少しばかり気まずかった那央との関係は、今は普通に冗談を言えるくらいになっていた。

このまま、あの時の出来事は水に流せたらいいんだけどな……。

そう思っていた時、ドアが開いてカレンさんと藤丸先輩が入ってきた。



「皆、模擬店の場所が決まったわ!」



意気揚々と歩いてきたカレンさんは、あたし達が集まるテーブルの上に一枚のプリントを置いた。



「今年は中庭。テニス部の隣よ」



プリントを覗き込むあたし達に、カレンさんがにっこりと微笑む。


テ、テニス部の隣……。

あたしは奈々ちゃんと密かに目を見合わせた。

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