小春日和の恋
「本当にいいの? 告白しなくて」

 親友の沙羅ちゃんが、わたしの顔を覗きこんできた。

 卒業式も終わり、中学校の校庭で最後の時を惜しんで友人たちと交流をはかっている。

 わたしも後輩たちと話をしたり、友人たちと話をしたり……高校生になったらもう会えなくなりそう人たちと会話をしていた。

 もう、今日で最後。そう思うと、なかなか校庭を離れられない。

 スマホのラインで、話そうと思えば、話せるし。会おうと連絡すれば会えるのだろうけれど……。

『卒業』という一つの節目が、頭に過ると、今しか出来ない交流をしておきたいと思ってしまう。

 沙羅ちゃんの声掛けに、わたしの視線が自然と小野くんの姿を探してしまう。

 校庭のど真ん中で、一際大きな人の輪が出来ている。その輪の中心に、羽交い絞め状態の小野くんの姿がちらちらと見え隠れした。

「大丈夫……ていうか、そんな勇気、わたしにはもう、無いよ。今日で見納めかなあ。この気持ちに踏ん切りつけないと」

 わたしは胸をおさえると、小野くんから視線を外す。

 初めて「好きかも」って思ったのは、中1のとき。

 中1のときから五十嵐くんと小野くんは、一目を置かれる存在だった。

 身長は同級生たちより、大きかったし。容姿も良かった。そして何より、バスケットが二人とも上手かった。
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