小春日和の恋
「日向は縮んだ?」と首を傾げて、小野くんがわたしの頭にポンと手をのせた。

「縮んでない! 伸びても……ない、けど」

 中2ですっかり身長が止まってしまった。

 小野くんはまだまだ成長期みたい。身長も高くなったし……身体つきも中学のときよりしっかりしている。

 顔つきも随分と大人びてしまって、中学のころとは違うね。

「ハル、何やってるの? ミーティングするよ」

 小野くんの背後から女子の声が飛んできた。

 小野くんの顔がくるりと動くと、「はい」と女子に返事をする。

「日向、五十嵐もバスケに復活した」

 小野くんはそれだけ言うと、わたしに背を向けて歩き出した。

 小野くんの隣には、小野くんと同じバスケ部のジャージを着ている女子が並んだ。

 女子は親しげに小野君の背中をバシッと叩き、笑顔を向ける。

 女子が小野くんの背中に手をまわしたまま、ちらりとわたしのほうに視線を動かした。

『誰?』と口が動くのが見えた。

 小野くんがなんと答えたのか。わたしには聞こえなかった。

 中学校の同級生。中学のときの部活のマネ。

 小野くんから見たら、わたしはそんな程度だろうか。
< 24 / 46 >

この作品をシェア

pagetop