小春日和の恋
 わたしは試合を見ながら、スコアブックにチェックを入れていく。

「俺、騙されたよな?」

「さ、さあ……それはどうだろう」

 わたしは苦笑を浮かべて首を傾げた。

 五十嵐くんの図太い神経に、わたしはオロオロしてしまう。

 相手方のバスケ部関係者が座っている椅子のスペースに、ドカッと座ってわたしに延々と話し続けてる。

 バスケ部に入部すれば、彼女が出来る、と勧誘されて、高2になってから入部したらしい。でも実際は、できるどころか中学のときと全く同じ状況になっているとか。

 バスケ三昧で、女子の影など全くなくなってしまった……と、不満をたれながしている。

「……たく、ハルはいいよなあ。高校になって、さらにモテ度がアップしてやがる。俺なんて……はあ、考えるだけ無駄。あいつと比べるだけ馬鹿を見る」

 ペチンと額を叩く音が聞こえた。

「沙羅ちゃんが言ってたじゃない」

「黙ってれば、それなり……ってやつだろ。俺が黙って居られると思うか?」

「思わない」

「だろ?」

 私が振り返るとカカッと白い歯を見せて、五十嵐くんが笑う。
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