小春日和の恋
「今夜七時半、K駅の改札口で待ってる。それまでに俺に話す内容を纏めておいて」

 小野くんが、わたしの肩をポンポンと叩いて、笑みを見せてくれた。

「もう行かないと」とわたしに軽く手をあげると、階段を小走りで降りて行った。

 今夜七時半……覚悟を決めなきゃ!!

 わたしも大きく息を吸って背筋を伸ばすと、階段をゆっくりと降りていった。








「ちょ、ちょ……日向先輩、すごかったんですよぉ!!」

 体育館に戻ると、バスケ部の1年生のマネがわたしに輝いた目をして飛びついてきた。

「もう、どうして先輩、トイレに行っちゃったんですかぁ。あれは見物だったのにぃ」

 後輩の北野さんの興奮してて、なかなか本題に入ってくれない。

 わたしは北野さんの背中を撫でると、「はいはい」と苦笑した。

 私が飛び出してからの後半戦、試合がすごく盛り上がったのだろうか?

 M高の勝利だというのは耳にしたけれど。

「試合終了の笛が鳴ったらですねえ。ボールがこっちに飛んで来たんですよ!! すごい早くて、バシ―ンって重みのあるボールがっ! 先輩の後ろに座ってたM高の人がボールを取ってくれなかったら、大惨劇になってましたよ!!」

「え?」と私は驚きの声をあげて、「投げた人わかる?」とおそるおそる質問した。

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