小春日和の恋
「山城ってヤツ、いつもああなの?」

「山城先輩がどうしたの?」

「試合のとき、あたりがキツかったから。いつもああなのかと……。始終、睨まれっぱなしだったし」

「え? あ……そう。どうかな? M高は強いから。気合いが入ってたのかも」

 あはは、とわたしは乾いた声で笑う。

 去年の合宿で、告白された……とは言えない。わたしが小野くんが好きだって知ってて、ついあたりが強くなったんじゃない?……なんて言えるわけない。

 とても私の口からは言えない。

「強い相手と戦うときのあたりとは少し違うような……」と一度、言葉を切った小野くんがちらりとわたしに視線を落としてから、「告白された?」と鋭い質問を投げてきた。

「え? ま、まさかぁ」

 思わず否定してしまう。

 ブスリと鋭利な刃物でも刺されたような感覚。

「本当に?」

「きょ……去年の夏。合宿で……あったような、無かったような」

「どっち?」

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