小春日和の恋
「それでも俺は、連絡が欲しかった」

「わたしだって、小野くんから連絡があるんじゃないかって……」

「どっちもどっちだな」

 わたしたちは目を見合わせると、クスクスと笑いだした。

「小野くんは、新しい恋とか考えた? わたしから何の反応もなくて」

「俺の心は日向にやったから。次の恋とか考えてなかった。それに新しい恋をしようって思って、恋をするもんじゃないだろ」

「あ、それ。五十嵐くんにも言ったらしいねえ」

「まだあいつは気付いてないみたいだけど。悪いヤツじゃないんだ。純粋で真っすぐで。正義感も強くて。意外と真面目なところもあるし。今日だって、なんで日向のところに行ったと思う?」

「え?」

 理由があったの?

 ただ愚痴を吐き出しに来ただけじゃないのかな?

「あいつ、部長に啖呵をきったんだ。しかもバスケ以外のことで。入部したてで、部長に目をつけられて……いじめ路線まっしぐらなんだよ、あいつ。それでたまたま同級生がいたから、日向のところで観戦したんだ」

「五十嵐くんが、先輩にたてつくなんて。意外……」

「たてついた理由は、あいつらしいけどね」

 クスッと小野くんが笑う。
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