ワケあり!?社内恋愛
「……な、んで……」
電車が行ったことを確認して、再びホームの中に踏み入れた。
だけどそこには、
さっき行ったと思っていた那月さんの姿があって……。
「忘れ物なんて、嘘だろ」
「……」
最初から分かっていたように、那月さんはあたしを待ち伏せていたらしい。
「亜由美さんは……?」
「さっきの電車で先に行かせた」
「……そんなことしていいんですか?
亜由美さんが痴漢に遭っちゃうかもしれないですよ」
「あいつに痴漢する勇者なんかいねぇよ。
いたとしても、あいつはとっ捕まえるタイプだ」
確かにそれは一理ある。
悪いことや曲がったことが大嫌いなので、
痴漢なんかされたときには、腕をひねりあげそうだ。
だけど今は、
それを気にしてるんじゃなくて……。
「………ごめんな…」
あたしが何か言う前に
那月さんは謝った。