ワケあり!?社内恋愛
 
言いたいことはいっぱいあるのに
何一つ言葉として出てこない。


涙がジワリと浮かんで、必死に堪えようと唇を噛んだ。



「お前には本当に悪いことした……」

「…っ」



悪いことなんかされてない。

あたしが勝手にしがみついて、弱みにつけこんでいただけ。


「……伝えたんですか……?亜由美さんに……」
「……ああ」
「それ、で……?」
「保留、だって。
 今はまだ考えられないって……」
「……」


でも、きっぱりと振ることはなかったということは
亜由美さんにとっても那月さんは男の人であったということ。



「よかった……ですね」

「……」



一歩前に進んで、激励の言葉を吐く。


今はまだ
目を見てその言葉を言うことは出来ない。
 

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