ワケあり!?社内恋愛
 




「………はぁ…」


一人オフィスを出て、ため息が漏れた。


忙しくして、帰りをなるべく遅くしたいのに
こういうときに限って、そんなに仕事はなくて……
まだ7時半という時間に退社。


本屋でも寄っていこう……。


自分の最寄駅には、不便にも本屋さんはない。
だからそのまま、会社の近くの本屋さんへ寄っていくことにした。


本屋さんに行ったからと言って、これといって読みたい本が見つかるわけではなかった。
それでも何も買わずに帰ったら、家に帰ってから絶対に後悔すると目に見えてたので、
適当に雑誌と小説を手に取って会計を済ます。


ご飯はコンビニで何か買おう。


そんなことを思いながら、本屋さんの袋をぶら下げて駅へと向かった。


「…っ」


神様は意地悪だ。


絶対的に避けたい二人なのに
今あたしの目の前に、仲良さそうに一緒に帰る姿があって……


「えー、絶対に中華でしょ」
「いやいや、とんかつの気分だし」


ここから聞こえる二人の会話は、もう恋人同士のようにしか聞こえない。
 
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