ワケあり!?社内恋愛
 
「あたしは……
 那月さんが好きなんです……」

「うん。知ってる」

「だから……
 倉永さんと同じような気持ちなんて、返せません」

「いいよ。それでも」

「……」


まるでそれは
あたしが那月さんに向けていた言葉のようだ。


あの時の那月さんの気持ちが、今初めて分かったような気がした。



この腕をとってしまえば、
確かに楽かもしれない。


ずっと傍にいれば、
この人を本気で好きになる日がくるかもしれない。




「………汐莉…。

 俺なら汐莉しか見ないから……」


「……」




……………あ、たしは……。
 

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