ワケあり!?社内恋愛
 
「ごめんね。ずっと汐莉の気持ちに気づいてあげられなくて……。

 今回のことがなかったら、あたしはまだまだ気づいてあげられなかったかも……」


「そんな、亜由美さんが謝ることじゃないですよ!
 あたしが誰にも気づかれないよう、気持ちを抑え込んでただけなんですからっ……」


「もう……なんでそんなことするかなぁ……。

 最初から気づいていれば、那月の家に押しかけたりなんかしなかったのに……」


「すみません……」


そしてなぜか謝ってしまうあたし。

大きくため息を吐く亜由美さんが、ちょっと怖い。


「実際さ、
 那月と汐莉がどんな関係だったかは知らないよ。

 けど、いろいろあったんでしょ?
 あたしが知らない間に……」

「……は、い……」

「頑張ったみたいじゃん。那月に」

「え?」

「……っと。あとはもうあたしからは言えないや」


そこまで言っておいて、亜由美さんはもったいぶった。
 
< 160 / 212 >

この作品をシェア

pagetop