ワケあり!?社内恋愛
12章 癒しへの逃げ
「汐莉ちゃん!」
「あ……倉永さん…」
金曜日、いつもと同じように帰ろうとオフィスを出たら
突然後ろから呼び止められた。
呼び止めた相手が倉永さんだと分かり、ちょっとだけ気まずさを持ってしまう。
「今帰り?」
「はい」
「じゃあ、飲みにでも行かない?」
「え……でも……」
それには多少抵抗があって……
だってこの間、
あたしは……
(………汐莉…。
俺なら汐莉しか見ないから……)
もったいないくらいの告白の言葉に
心が全く揺らがなかったといえば嘘になる。
だけど……
(ごめんなさいっ……)
あたしは倉永さんの胸を押した。