ワケあり!?社内恋愛
 




「いや、でも……」


飲みの誘いに戸惑っていると
倉永さんはまたいつもの優しい笑みを向けてくれて


「じゃあ、そんな固く受け取らないで?

 今日このまま家に帰ったとしても、無駄に那月のことを考えちゃう。
 だから目の前の、ただの会社の先輩と飲みに行って、ぱーっと気晴らしをする。

 どう?」


ニコニコと微笑んで
あたしのことを気遣ってくれる倉永さん。


「それに前に言ったよね。
 俺のこと、好きになる可能性があるって……。

 中途半端なことがしたくないからその時は気持ちに応えられないって言ってたけど、
 中途半端じゃなくて、前向きに自分から動くことも大事じゃない?


 なんて、俺が言うと、すげぇ必死な感じがするけど」


「ははっ」と笑いながらそんなことを言われて、
確かにそれは一理あった。
 
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