ワケあり!?社内恋愛
13章 今さら遅い
家のマンションにたどり着いて
涙目となった顔で立ち止まったあたしに
大好きで
愛しい人の声が
「おかえり」
と迎え入れた。
たったこれだけで、必死に堪えていた涙がすべて流れ落ちてしまいそうで
今すぐに抱き着きたい衝動をなんとか抑えた。
「どう、したんですか?こんなところで……」
「汐莉に会いに来た」
「え……?」
こんなマンションの前で、偶然に出くわすわけない。
あたしに会いに来た以外、なんでもない。
だけどその理由が分からない。
「なんで……」
「汐莉に伝えたいことがあったから」
真っ直ぐと見つめるその瞳に
忘れかけていた胸のときめきが急激に込み上げてきた。