ワケあり!?社内恋愛
 





「何飲む?」
「ビールで」
「お前、可愛げねぇなー」
「女は、カシオレなんて時代は終わりましたよ」


9時半ごろ、お互いに仕事を終わらせて、2駅ほど離れた駅の飲み屋に来ていた。

さすがに会社の近くすぎると、周りにバレたときにいろいろめんどくさそうで、
それに多分那月さん自身が、今の自分を周りに知られたくないと思ったから……。


「とりあえず、乾杯しますか」
「はーい」


ビールジョッキをチンと合わせて乾杯。

那月さんは、いっきに半分近くまで飲み干し、



「あー、仕事上がりのビールはうまい」



と親父くさいことを言っていた。


「親父ですね。那月さん」
「うるせー。ジョッキが似合う女に言われたくない」
「カッコいいでしょ?」
「親父女子」
「……」


那月さんは、普段全然あたしを女の子扱いをしてくれない。

最初の頃は、それこそブラックコーヒーばかり飲んでいるあたしに、カフェオレなんかを持ってきてくれて優しくしてくれたのに、今ではこんな扱いだ。
 

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