ワケあり!?社内恋愛
 
「俺も男だから……。
 好きな女の子が自分の部屋にいて、何もしないでいられるわけないし。

 だから酔っている汐莉ちゃんを、利用しようとしたのも本当。

 だけどね……」



(な、つきさん……。

 那月さんっ……)



「キスしようとした君から漏れた言葉は、那月の名前ばかりだった」

「……」



切なげに微笑む倉永さん。

ぎゅっと胸が痛くなった。



「だからもうそれ以上は出来なかったんだ。
 自分が虚しくなるだけだから……」

「……倉永さん……」

「ね?俺はべつに、優しい男だけじゃないでしょ?
 ひどい男だし、オオカミだから」

「…っ」


ふわりと微笑む彼を
優しくないと思う人は誰がいるんだろう。


やっぱり倉永さんは
誰よりも優しくて……。
 
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