ワケあり!?社内恋愛
 
那月さんは、驚いて目を見開き、言葉を失っている。

あたしはひるまず、もう一歩那月さんとの距離を縮め、
上ずってしまいそうな声をもう一度出した。




「那月さんが好き……。


 もう……遅い、ですか……?」




あの時、那月さんは確かにあたしを好きだと言ってくれた。

だけどあたしは
自分の行動に嫌気がさして、那月さんの想いを受け入れることができなかった。


だからこんなこと、虫のいい話かもしれない。

それでもどうしても
もう一度伝えたかった。



那月さんが一歩前に出る。


伸ばされた手。

引き寄せられる体。




「大丈夫。

 10年くらい、片想いしてるつもりだったから」




あたしの体は、那月さんの胸の中に抱き寄せられた。
 
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