ワケあり!?社内恋愛
 
「そういえばお前さー」
「なんですか?」


注文していた料理が、一通り運ばれたところで、ふいに切り出された。

ポテトをつまみながら、那月さんを見やる。


「なんで男作んねぇの?」
「ぶっ……」


思わず、口の中のポテトを吹き出しそうになった。


「おまっ、汚ねぇよ!」
「出してないじゃないですか!
 那月さんが変なこと聞いてくるからっ……」
「べつに変なこと聞いてるつもりねぇし。
 単純に思ったから、聞いただけ」
「……」


もぐもぐと、とりあえず口の中がなくなるまで、だんまりを続けた。


だってこんな質問、那月さんに聞かれるのが一番困る。


「同じ企画部署の倉永が、お前のこと可愛いって言ってたけど」
「そうですか」
「紹介してやろうか?」
「結構です」


ズキンと胸が痛くなった。

那月さんにだけは、紹介されたくない。
 

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