ワケあり!?社内恋愛
 
那月さんの、パソコンを打っている手が止まった。

だけどこっちへ振り返らない。


その背中に向かって、もう一度口を開いた。



「那月さんが好きです」

「……うん。知ってた」



返ってきた言葉は、予想外の答え。

だけど動揺することなく、その背中を見つめ続ける。


「お前の気持ちなんか、最初から分かってた」

「……」

「分かってて、俺は昨日、最低なことをしたから」


決して偽善ぶらない。
正直な返し。

それにあたしも、昨日聞いたはずだ。



(今、俺……失恋したとこだし、酒も入ってるから。

 責任なんか取れねぇよ?)



だから、何かを求めちゃいけない。
 

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