ワケあり!?社内恋愛
「ここ、会社の前なんだけど」
「分かってます」
そんなの分かってる。
だけど亜由美さんは、とっくに帰ってるんだから、
見られて困る人はいないでしょ?
立ち止まって動く気配のないあたしに、那月さんはめんどくさそうなため息を吐く。
あ、完全に呆れられた……。
もしかしたらもう会ってくれなくなるかも……。
今さらながら自分の行動に後悔して、俯いた。
だけどその途端、引っ張られる手。
「ほら、早く行くぞ」
「…っ」
あたしの手を、那月さんが握っていた。