ワケあり!?社内恋愛
那月さんは、あたしを引き離そうとはしなかった。
代わりに聞こえたのは、
頭の上から聞こえるため息。
「お前、俺を最低男にしたいの?」
ちょっとだけ苦しそうな声色。
その意味が分かって、抱きしめる腕の力を強めた。
「……はい」
たとえ、寂しさを埋めるためだけでも構わない。
逃げ道の、都合のいい女であっても構わない。
だって……
「あたしは、最低だなんて、思ってないですから」
あたしが勝手に誘惑して、彼を最低男への道へ引きずり込んでいるだけ。
「……家に寄っていきませんか?」
今はどんな形でも
あたしを求めてくれればいい。