ワケあり!?社内恋愛
「え……?」
「こんな酔っ払い、一人で帰すわけにもいかねぇだろ。
こいつんち、電車使わずに歩いて行ける距離だから」
「おー。じゃあ、那月、あとはお願いな」
「へいへい。行くぞ」
「えー?」
送っていこうとする那月さんに、誰もがめんどくさい女を押し付けたいというような返事しかなくて、誰も引き留めない。
他の人たちも、終電がなくなるからと、足早に駅へと向かって行った。
「高嶺さん?」
「え?」
「帰らないの?電車なくなっちゃうよ」
「あ、帰りますっ……」
倉永さんに声をかけられて、我に返った。
だけどあたしの足は、鉛のように重たくて……。
「………ごめん。先帰ってて。
ちょっと高嶺さん、気分悪そうだから」
「え、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。俺も一緒に残ってるから。
お前らんとこ、終電早いんだろ?
先帰ってろ」
「なら……。
じゃあ、高嶺さん。気を付けてね」
「え?あ……はい……。
お疲れ様です……」
訳が分からないまま、あたしは倉永さんに流されてしまった。