ワケあり!?社内恋愛
「最初は、俺好みの可愛い子がいるなー、なんて思ってただけだけど……。
自然と高嶺さんを目で追っていくうちに、高嶺さんが追っている相手がいるってことに気づいて……。
そいつ……那月の好きな奴なんて、俺には最初から分かってたし。
だから報われない恋心をお互いにして、ちょっとかわいそうだなぁ……なんて思ってた」
「……」
自分ではしっかりと隠していた想いを、まさか会社の人にバレていたなんて気づかなくて、何とも言えない恥ずかしさがこみ上げてきた。
「でも報われないと分かっていても、必死に那月を想いつづける高嶺さんを見てたらさ……。
なんか俺がこの子を幸せにしてあげられたいいのに!って思うようになっちゃって……。
だからこの前、勇気を出して、休憩室で声をかけたんだ」
倉永さんは照れくさそうにはにかんでて、あたしはどんな反応をしたらいいのか分からず顔を伏せた。
自分が那月さんにずっと片想いをしている中で
そんな自分にずっと好意を寄せてくれていた人がいるなんて……。
「だからね。
俺、諦めるつもりないから」
倉永さんは、微笑んでいた顔を真面目な顔へと変えた。