ワケあり!?社内恋愛
 
「最近お前、帰るの遅いのな」
「あ、月末ですから。
 みんなどんどん申請してくるんですよ」
「ま、仕方ないよなー」


なんて話をしているけど、
あたしが帰るのを遅いことを知っていてくれることが嬉しくて、つい口元が緩んでしまった。

だけどそれを悟られないよう、マフラーで口を隠す。


「あーねみぃ…」
「……ですね」


社会人になってから、つくづく思う。

毎日が眠い、と。


お互いにそんなことを話しながら、駅について、電車に乗り込んだ。


「お、座れる。よかった」
「ですねー。
 朝もこれくらい空いてればいいのに……」
「朝はやばいよな。通勤ラッシュ」
「ほんとですよ!
 痴漢にもあうし、散々」
「へー。お前みたいな女に手を出す物好きもいるんだ?」
「……那月さん?」
「ははっ……」


その言葉、那月さんに言われるのはかなりショックなんですけど……。


内心、痴漢に遭ってる、って聞いたら、心配してくれるかな?と思って言った言葉でもあったし……。
 

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