ワケあり!?社内恋愛
 
「ごちそーさまでした」


並べられた料理をたいらげて、一人なのにちゃんと手を合わせて挨拶をする。


あとで片づけ、というのが嫌いで、食べ終わったらさっさと片づけを済ました。


いつも忙しくて、帰ったらだいたいご飯とお風呂だけで一日が終わるけど、今日は少し余裕がある。
お風呂からあがって、買ったまま放置されていた雑誌を手に取った。



ブー、ブー……

テーブルに置いてあった携帯が震え、雑誌から顔をあげて携帯を手に取った。

そこには【亜由美さん】と記されていて、迷わず応答ボタンを押す。


「もしもし?」
《……もしもし…》


電話のせいなのか分からないけど、受話器越しに聞こえる亜由美さんの声は、いつもと違って聞こえた。


「どうしたんですか?」
《汐莉って、一人暮らしだっけ?》
「え?そうですけど……」


《今日、アンタんち泊めて》

「ええ!?」



そしてあたしは、亜由美さんを家に泊めることになった。
 

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