ワケあり!?社内恋愛
 
「おじゃましまーす」
「……亜由美さん、親父ですか…」


場所を教えて、訪れてきた亜由美さんは、
片手に熱燗を持っていて、すでに少し酔っている。


仮にも20代の女子がすることじゃない。


「いいじゃんいいじゃーん。
 アンタの前では、女子にならなくていいって決めてるの」

「公共の場で、それはないですよ」


あたしの鋭い突っ込みにも、亜由美さんは「あはは」と交わすだけで、さっさと部屋の中に上がりこんでしまう。

結局、どうして亜由美さんが急に泊まることになったのか、いまだに分からないでいた。



「本当にどうしたんですか?
 いきなり……」

「ちょっとね」

「ちょっとって?」


「……喧嘩した。俊之と」


「えっ……」



なんとなく予想はしていたけど、
亜由美さんは俊之さんと喧嘩して、家を飛び出してきたらしかった。
 

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