ワケあり!?社内恋愛
「というわけで、さ……。
本当に事故みたいなキスなんだよ」
亜由美さんは、全て話し切ると、「たはは」と苦笑いしていた。
あたしも亜由美さんにつられて、笑っているつもりだったけど……
ちゃんとうまく笑顔を作れているだろうか……。
だって……
那月さんは……。
「でもたとえ事故だとしてもさぁ……。
キスという事実があるから、俊之の言葉をはっきりと否定することが出来なくて……。
そんな曖昧なあたしの態度を見て、俊之も怒っちゃったの」
「……亜由美さん…」
「あたしには俊之だけなんだってぇ……。
なのに何で分かってくれないのぉ……」
亜由美さんは、そのまま机に突っ伏して、寝てしまった。
その頬には、涙が一筋つたっていて……。
起こそうと思ったけど、今のあたしにはそれが出来なかった。
むしろ寝てくれてよかった……。
だってあたしも
「……っ…」
堪えきれない涙が、頬をつたって流れ落ちているから……。