消えた玉むし
 ピンポーンと自転車から降りずに鳴らす。
しばらくすると、はーちゃんが出てきたので、
「いつもごめん」と軽く謝る。
いいよ別に、と自転車に跨った。
私ははーちゃんの後ろをついて走る。
よく見ると、はーちゃんの髪に『シュシュ』と呼ばれるゴムがついていた。
ピンクの生地に、黒い水玉。
何故か違うように見えたはーちゃんの背中は細かった。
同じだと思っていたのに、
はーちゃんは『彼女』という印象になってしまった。
私よりも先に行ってしまった気がして、
なんだかやるせなくなったのは、
きっと嫉妬しているのだろう…と、
天気のよい空をうっとおしく思いながら私は『彼女』を見詰めた。




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