桜が咲く頃~初戀~
そしてからニッコリと香奈に笑いかけるとおばぁちゃんは更に話を進めた


『その漏れ出した言葉で自分自身も救ったり、傷付けてしまう事もあるんやで。香奈、分かるか?言葉に宿る「霊」つう見えん者んがおるんやと。昔の人はその言葉に宿る「霊力」が口に出した言葉の内容を現実に実現させてしまうと信じられとった。今だにそう思う人は沢山いとる。その人達は良い言葉を使って「言霊」を働かせより良い生活をしようとする。それと反対に言葉の使い方を謹んだり、避けたりする考えの人もおる。だから一旦口に出した言葉は引っ込められんのやなぁ。想いを口にする時は気ぃつけんとな』

そう話すとおばぁちゃんは「よいしょ」と立ち上がり

『常ちゃんがもうそろそろ来るしお茶沸かすかね〜香奈はココア飲むかね?』


と土間に降りて行った。

『バァちゃん、ココア自分で作るからいいで』

そう香奈もおばぁちゃんに声をかけながら土間に降りた。

香奈は食器棚の上の棚にあるココアの瓶と自分用の白いマグカップを取り出してココアを作りながら、おばぁちゃんが話した「言霊」の話が今は分かる様な気がしていた。

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