桜が咲く頃~初戀~
おばぁちゃんは圭亮の[よく分からん]の言葉を受け入れてからウンウンと頷くと

『悲しい事を考え言葉にし続けると、それもその通りになる。それも「自分の言霊」が作り出す【負の奇跡】や。しかしな、悪い言葉だからと言いたい言葉1つも言えんと堪えてから【秘】を作るのも良う無い。そんな時こそ、1人でもええ、信じられようが、信じられないだろうが、誰かに言葉にして伝えないかん時もある。心が壊れてしまわんようにな。人は生きている間に色んな事があるもんで。そうやって上手でも下手でも良いから自分大好きになって大切に過ごして1日1日が重なってふとした事が嬉しいとか幸せとか思う時に【奇跡が起きた】って人は思うんや。自分が願い焦がれていた気持ちがあったなんてすっかり忘れてな。だから、圭君も、香奈も今の想い描く気持ちを忘れてしまっていたとしても、必ずその想いが【奇跡】と思える事で叶うと言う事だけ忘れんとな』

そう言うとおばぁちゃんは席を立ち夕飯の支度を始めた。

『圭君も香奈と晩御飯食べてから帰りなさいや』


と言うと振り返ってシワシワの顔の真ん中に皺を集めて今話した話しが照れくさくなったのか?可愛く笑った。



< 174 / 222 >

この作品をシェア

pagetop