桜が咲く頃~初戀~
圭亮は香奈の指を摘んだまでま離さずに話し始めた。


『香奈ちゃんに、俺が迷子になった話をしたよね?あの時、雄一とかと隠れんぼしとって迷子になって、誰にも見つからず、捕まらずで必死にココに来てから寝てしまって...。本気で誰にも見つからなくて寂しくなって悲しくなって、怖かったけど。ココに隠れて良かったと今は思っとる』

そう言うと圭亮は香奈の指を離して桜の樹を半分周り香奈の背中に回った。

香奈はゆっくり振り返ると圭亮は頭をポリポリとかきながら照れくさいのか?眉毛を目の当たりまでギュと寄せると唇を右上に少し上げてから


『今日も香奈ちゃんには会えた』


そう言った。香奈は圭亮の白くて綺麗な顔を見上げながら圭亮と同じように眉毛を目の当たりまで絞って唇を右上に少し上げてみた。

その顔を圭亮はじっと見た後に「ふっ」と少し笑った。

香奈は自分が迷子になった日の気持ちを思い出し、圭亮のその日の気持ちと重ねて「皆、やっぱり1人は寂しいをんだ。1人では生きていけないのかも知れない」と思ったら少し泣きたくなった。

今、香奈は1人では無いし、昔だって1人では無かったのに自分の思い込みで1人だと気持ちに暗示をかけていたのも今は分かった。

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