桜が咲く頃~初戀~
それから少しの間の4人は雪合戦に突入し、沢山庭を走り回った。

しばらくそうして居たが香奈も圭亮も彩未と拓也の疲れを知らない元気さに力尽きて縁側に逃げる様にして座ると

『疲れたからおわりぃ』

と圭亮が彩未と拓也に息を切らしながら手招きして呼んで2人を縁側に座らせた。

『えーまだやりたい』

拓也がそう言ったが圭亮は『参りました』と拓也に息を整えて頭を下げて楽しそうに笑っていたのを見た香奈はその圭亮の汗ばんだ前髪から覗くキラキラした目を見て幸せな気持ちがした。

胸の奥が小さく縮んだみたいになって顔が熱くなる。

そこへ、おばあちゃんが熱々の甘酒を作って持って来て拓也のおじいさんも縁側に座って皆で甘酒を飲んだ。香奈は甘酒の味は苦手だったのだけど、身体がポカポカとして気持ちよかった。

こんなにも暖かく感じた縁側を香奈は初めてで、本当に嬉しかった。

甘酒を飲み終わると拓也はおじいさんと楽しかったのか。ニコニコしながら両手を大きく何度も振ると帰って行った。

なごり雪の冷たさが暖かさに変わっておばあちゃんの家の縁側を包んだ。

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