桜が咲く頃～初戀～
圭亮から貰った物はこれで2つ目、あの夏祭りの日に3匹の金魚と。

残念ながら、金魚はその夏に死んでしまったけれど香奈が大切にしている【空の写真集】にはあの日の圭亮との思い出の写真が栞の様に挟んであった。




香奈は圭亮から貰った物はそれだけではない事も今は分かっている。圭亮からの1人の人としての暖かく優しい想いは昔か全く変わらない大切な物だとも。

言葉にしないと分からない事も人との繋がりであるのも事実だとは思うけれど、言葉に出来ない人もいる。言葉に出来ない分行動で想いを表現しないと行けない人もいる。それを察する事も出来ない人だっている。

香奈の様に不貞腐れて自我に籠る人もいる。悲しむ人も。自分を言葉でも行動でも表せず天邪鬼にヘラヘラ笑う人も、我儘を押し通して自分自身傷つける人も。

人の生き方は全て個性で関わる人を選べる物ではないのだ。

ただ、似たような人と人が深い関わりを持って生きるのが理想ではあるけれど。

それだけ人の気持ちは複雑なのだと。


そう思える迄には香奈はまだまだ自分に自信がある訳ではない。これだけはハッキリと知った。


圭亮の気持ちと自分の気持ちは同じ方へ歩んで行きたいと。


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