桜が咲く頃~初戀~
翌朝、香奈は一通のメッセージ音で目が覚めた。


「香奈ちゃんおはよう。今から汽車に乗るから今日はもう会いに行けないけど。東京着いたらまた連絡します」


そのメッセージはサヨナラは全く感じず香奈は少しの淋しさだけ胸に落ちて来たけれど温かくて優しい圭亮の面影が目の奥で映り少し安心さした気持ちになった。香奈は枕元に置いて寝ていた桜の付け根を左手でぶら下げてチリンと鳴らすと布団から彩未を起こさないように静かに出て


「圭亮君。おはよう。気をつけて」


とメッセージを返してからおばあちゃん家の土間に静かに降りた。

おばあちゃんはご飯を炊飯器に入れてスイッチを押してから珈琲を入れていた。


『あぁ、香奈おはよう。香奈もココア飲むかね?』


と振り向いておばあちゃんは何時ものようにシワシワな顔を更に皺にして優しい顔で微笑んだ。

香奈はおばあちゃんのこの顔が1番大好きだった。

『うん。自分で入れる』


そう言って窓から外を眺めた。


おばあちゃんの家に冷たい朝の匂いと珈琲の香りがしていた。


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