桜が咲く頃~初戀~
『そんな時や、紀子を近所のスーパーで見かけた。香奈を連れていてな。面影が何処と無く俺に似てる娘を見て俺は紀子があの時俺の子供を産んでいたんを知ったんや。嬉しかった方が先やったからな。思わず紀子に近づいてしまった。しばらくは拒否もされたけど。紀子は情が深いからな。俺を許してくれるには時間はかからんかった。それに調子にのったんやなぁと今は思うと情けない。それからすぐに結婚して幸せになれると思ってたんやけど。香奈は心を閉ざしたまんまで。だけどな。そんな俺の行動は自分の気持ちばかりで。結局幸せやなくて試練になった。辛かった。ほんまに辛かった。そう思ってたんは香奈も紀子も彩未もやった事が今はよく分かった』
そこ迄良幸は話すとまた泣き出して以前なら「めんどくさい」と思って気持ちも耳も塞いでしまっていたんだろうと香奈は思った。
『お父さん私な全然、お父さんが出来て嬉しくなかった』
そう呟いて良幸の背中をマジマジと見つめると、あの日の家を出て行く良幸の背中がまた思い出されて泣きたくなった。
そこ迄良幸は話すとまた泣き出して以前なら「めんどくさい」と思って気持ちも耳も塞いでしまっていたんだろうと香奈は思った。
『お父さん私な全然、お父さんが出来て嬉しくなかった』
そう呟いて良幸の背中をマジマジと見つめると、あの日の家を出て行く良幸の背中がまた思い出されて泣きたくなった。