桜が咲く頃~初戀~
良幸はその香奈の言葉に胸が焼けそうに痛くなった。


『そうやな。嬉しく無かったな。この間な。おばぁちゃんから電話で怒られたんや。「今、罪償わんで何時償うんや」ってな。あぁ、これは責められてるんやない、罪を犯した報いを言われてるんやと思った。いい大人になってまだ親から怒られな分からんとか無いなぁと思うと情けないわ。泣いたなぁ。紀子も付き合って泣いてくれてな。泣いたら泣いたで覚悟が出来てな。香奈、この先がまあるなら何時かお互いに寄り合えればいいと俺は思ってるから。香奈の気持ちでそうなる事が理想や。長く話してすまんかったな。そろそろ帰ろうか?』

そう気まずそうに良幸は言うと


『今更、遅いけとまお前を大切にしてやれんですまんかったなぁ』


と呟いた良幸の目からまた大粒の涙が落ちた。
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