桜が咲く頃~初戀~
今年はここの河津桜の大きな樹は機嫌が良いようで沢山の蕾と花を咲かせている。八割方は咲いているだろうか?
あれからも香奈は大阪には帰らず、おばあちゃんの家で暮らしていた。毎日のんびり過ごすうちに気持ちも柔らかくなって行き香奈は周囲の反対を押し切って運転免許まで取得した。
そのお陰で週に4回1日4時間、街にあるコンビニにアルバイトをしに行くまでになった。
車は太一郎おじさんが免許返納をしたので太一郎おじさんの軽トラを貰って乗っていた。可愛い車があるからと何度もススメられて来たが香奈は動けばいいと言って聞かなかった。
そんな香奈を圭亮は帰省する度に笑っては怒られていた。
2年前の夏祭りで、2人はお揃いの花火柄の浴衣を着て香奈の運転する軽トラで街まで行ったが、その行き帰りが物凄く恐ろしかったのを圭亮は今でも身震いしながら思い出す。
桜の樹の下で圭亮を待ちながら香奈は風に散るピンクの可愛い花弁を掴もうと手を伸ばしては握ったりしていた。
なかなか掴めない花弁を目で追っているその目の前に白くて大きな手のひらが舞い降りてきた花弁をそっと掴んだ。
『あっ』
香奈は振り返ると背の高い圭亮の優しくて綺麗な顔を見上げた。
あれからも香奈は大阪には帰らず、おばあちゃんの家で暮らしていた。毎日のんびり過ごすうちに気持ちも柔らかくなって行き香奈は周囲の反対を押し切って運転免許まで取得した。
そのお陰で週に4回1日4時間、街にあるコンビニにアルバイトをしに行くまでになった。
車は太一郎おじさんが免許返納をしたので太一郎おじさんの軽トラを貰って乗っていた。可愛い車があるからと何度もススメられて来たが香奈は動けばいいと言って聞かなかった。
そんな香奈を圭亮は帰省する度に笑っては怒られていた。
2年前の夏祭りで、2人はお揃いの花火柄の浴衣を着て香奈の運転する軽トラで街まで行ったが、その行き帰りが物凄く恐ろしかったのを圭亮は今でも身震いしながら思い出す。
桜の樹の下で圭亮を待ちながら香奈は風に散るピンクの可愛い花弁を掴もうと手を伸ばしては握ったりしていた。
なかなか掴めない花弁を目で追っているその目の前に白くて大きな手のひらが舞い降りてきた花弁をそっと掴んだ。
『あっ』
香奈は振り返ると背の高い圭亮の優しくて綺麗な顔を見上げた。