桜が咲く頃～初戀～
常ちゃんも駐在さんも目をしばしばさせ涙目を拭っていた。2人は「良かった良かった」と何度も言いながら貰い泣きをしていた。おばあちゃんは2人に深々と頭を下げてお礼を言うと香奈の身体をギュッと強く抱き締めた。そのおばあちゃんの腕の強さは何処に有るのか香奈は知りたいと思った。

『バアちゃん、勝手に外に行ってごめんなさい』

香奈は頭を項垂れ、おばぁちゃんの顔か見られずに言った

『何も言わんでもえいお腹すいたなぁ。早よ帰ろ。お風呂も湧いとるし今夜は一緒に入るかな？』

そう言ったおばあちゃんは優しく笑っていたけれど、目は赤くなっていて隅っこに涙がくっついていた。

おばあちゃんの家の近くに来るとお風呂を沸かす撒きの焼べている香りと共にカレーライスの美味しそうな匂いがして来た。その匂いに刺激されて香奈のお腹ぎキュルキュルと鳴った。

まだ涙目で興奮気味の2人はそのお腹の音に笑った。夜は冷たい風が吹いて肌寒かったけれど何だか暖かく感じた。

おばあちゃんの言う通り菜花の明太子サラダは潰したゆで卵と甘い玉葱が入っていてマヨネーズと醤油で混ぜてありとても美味しかった。


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