桜が咲く頃~初戀~
綾香
『圭、何でなん?誰が好きとか言ってんの!分からん!全く考えたくない!』


杉本綾香は圭亮を追いかけて上京して来た。何時しか圭亮の小さなワンルームに押しかけていつの間にか住みついた

圭亮にとっての綾香は幼馴染であり恋をする気持ちにはならなかったのだが、あまりにも激しい彼女の行動に流され東京が思いの外圭亮にとっては住み心地が良いと思える場所ではなかったのがきっかけだった

そんな寂しいと、思う気持ちが綾香と暮らす事に1つの気持ちを外しては何も抵抗は無かった。

綾香は昔から思った事は必ず行動にする気の強い性格ではあるが。姉御肌な母親の様な強さで何時しか圭亮も、今は綾香がいないと生きられない気持ちに思えていた。

綾香は近所の居酒屋で働きながら、昼間はコンビニで4時間のバイトをして、圭亮の実家の仕送りと圭亮のレストランの厨房でのバイトで少し広めのアパートに引越し人並みに生活出来る様になっていた

そんな生活はあまり長くはならなかった。

何時からだろう?圭亮の気持ちが綾香に無くなったのは?

圭亮は悩んだし、考えた。

答えなんてもう、随分前から分かっていたはずなのに。日々の何とも言えない圧力で郷里へと繋がりを持つ綾香が傍に居てくれて支えてくれた事には感謝はしている。


しかし、それは、恋でも愛でも無く「情」だと圭亮は自分の気持ちが教えてくれていた事も知っている。

それを、圭亮は隠す事が出来なくなっていた。しばらくは綾香に悟られない様に綾香に合わせていたけれど


「息が詰まる…」

そして、綾香との普通だと思い込んだ生活は壊れた



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