桜が咲く頃～初戀～

数分して、雄一が頭に青いタオルを巻いて白のTシャツに黒いハーフパンツを履いき黒い靴下に茶色のサンダル姿で出て来た。まだ、寒い季節なのに風変わりな格好で『ふぅらあっついわ』と言いながら圭亮の左隣に立った。

『それよりか、雄一大丈夫か？派手に突き飛ばされたみたいやけど』


そう圭亮に言われた雄一は少し困った顔をし腕組みをしながら言った。


『あのガキな、何時もなんよ。俺、なんか可哀想で怒れんし。あのガキな親父おらんみたいでな。かぁちゃんは夜の仕事で、じいちゃんが守してるらしい。寂しいんちゃうかな？』


その話を聞いた圭亮は何故かその男の子を香奈に重ねてしまっていた。

雄一を突き飛ばした男の子はしばらく母親の傍で静かにしていたけれど、急に立ち上がった母親に腕を引っ張られながらまるで、マリオネットみたいに不思議な歩き方で必死に母親のスピードで連れて行かれた。

時折、雄一の姿を何度も何度も目で追いながら何かを訴えるかの様な顔をして。雄一もその姿を立って腕組みをしたまま溜息を着き


『あのガキも、寂しいんやろ』

そう言った。