ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
「……」

 女性にとって喜ばしいはずの妊娠、出産という身体の変化には、大きなハ−ドルがあるということを、ぼくは改めて思い知らされた。


 ぼくと珠希、ふたりして相談した結果、当分の間、珠希は実家に帰り、養生するという結論が出た。

「ごめんね省吾。でも大丈夫? ひとりで」

「うん、平気だよ。ひとりで暮らしていたから。ゆっくりするよ」

「ほんとごめんね。省吾」
「もう、いいよ」

 あやまり続ける珠希。ぼくはそんな珠希が愛しく思い、快く許した。


 たいへんな時期だから、ひとりで部屋に居るのも辛いだろうし、もしものことがあっては遅い話しだ。おまけに自分の両親の元だから気軽に生活出来る。
 珠希にとって、いやふたりにとってもベストな選択。
 翌日、珠希は会社に産休を申し出て、実家に帰省した。

「珠希。辛いだろうけど頑張ってな」
 別れ際、珠希にそう言った。

 二月、最後の日であった。
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